各種調査
2023年07月26日
比べて分かる学生&留学生のアルバイト事情 -「<学生版>求職者の動向・意識調査2023」と「留学生1,000人のアルバイト実態調査2023」の比較より-
このたびジョブズリサーチセンターでは学生のアルバイトに関する調査を2件実施しました。「<学生版>求職者の動向・意識調査2023」(以下 学生調査)では日本に居住する学生全体を、「留学生1,000人のアルバイト実態調査2023」(以下 留学生調査)では日本で学んでいる外国人留学生を対象にアルバイトに関わる意識や動向を明らかにしています。今回のレポートでは2つの調査結果を比較することで、特にコロナ禍での訪日者数減少から回復が期待される留学生について働き方の実態や仕事内容、アルバイト探しで重視する項目などを見ていきます。久しく留学生を採用していない、これまで採用したことがないという企業の皆様も一度このタイミングで留学生の特徴を知り採用を検討してはいかがでしょうか。
また、本レポートの最後には日本の働く環境についてのイメージギャップも紹介します。
※「<学生版>求職者の動向・意識調査2023」では調査対象に高校生を含むが、今回のレポートでは高校生を除いた結果を扱う
≪各レポートへのリンク≫
◆<学生版>求職者の動向・意識調査2023
Vol.1「学生アルバイトの変化が分かる、2018・2023年調査比較」
Vol.2「学生のアルバイト事情の今が分かる」
Vol.3「学生のアルバイト探しの今が分かる」
◆留学生1,000人のアルバイト実態調査2023
Vol.1 希望するアルバイト
Vol.2 仕事内容、勤務日数・時間、時給、希望とのギャップ
Vol.3 アルバイトをはじめた理由、重視項目、よかったことや苦労など
調査ダイジェスト
◆ 働き方
学生調査と留学生調査の比較で特に大きな違いが見られたのは働き方です。週当たりの勤務日数、1日当たりの勤務時間数両方で留学生が多い傾向がありました。週当たりの勤務日数では、授業ありの学期中において大学生等の6割強が週2~3日働いている一方、留学生は週5日勤務が最も多く28.0%、週4日が26.3%で続きました。授業なしの休暇期間では留学生の33.2%が週5日勤務、週6日は22.2%に上りました。
1日当たりの勤務時間数では、授業ありの日で5時間以上働いている大学生等が2割強である一方、留学生は6割を超えます。さらに授業なしの日では34.6%の留学生が8時間以上働いていると回答しました。
背景には、留学生がアルバイトをはじめた理由(留学生調査 Vol.3 p.6参照)として約5割が「日本で生活するための生活費が必要だから」、約4割が「学費としてお金が必要だから」をあげたように経済的な必要性からアルバイトをしているという事情がありそうです。
留学生を雇い入れる場合、当該留学生の週の労働時間が入管法で定められた以下の範囲内である必要があることにご留意ください。
・学期中 → 週28時間まで
・長期休暇中 → 1日8時間、週40時間まで
※複数のアルバイト先で働いている場合は労働時間を合計
◆ アルバイト探しの重視項目
アルバイト探しで重視したことを見てみると、大学生等・留学生どちらも「勤務時間帯」を重視していることが分かりました。大学生等も留学生も授業に影響がない時間帯で働けるかどうかがアルバイト探しでは重要なのでしょう。
両者で差が目立つのは「給与」で、大学生等では8位ですが留学生では1位に選ばれています。先述した経済的な必要性がこの結果にも影響していそうです。また、留学生が比較的「職場の雰囲気」を大切にしていることが見受けられます。留学生がアルバイトで最も苦労すること(留学生調査 Vol.3 p.12参照)は「一緒に働く日本人スタッフとのコミュニケーション」ですが、言語も文化も異なる環境で働くため、働きやすい雰囲気の職場であることをより重視していることが考えられます。
◆ 現在の仕事内容、今後希望する仕事内容
現在アルバイトをしている仕事内容は大学生等と留学生で大きく変わらず、塾講師や接客・販売業務が上位に挙がりました。留学生については語学力が活かせることや、特に重視している「給与」が比較的良いことから「塾講師、家庭教師、語学教師」を選んでいることが予想されます。
今後希望するアルバイトでは大学生等で9位の「宿泊施設のスタッフ」が留学生では1位で約2割が希望しています。インバウンドの増加が見込まれるなか、外国人観光客への対応のためには留学生を採用することも効果的かもしれません。
コロナ禍で留学生が減少していたこともあり、久しく留学生を採用していない企業や一度も採用したことがないという企業も増えているのではないでしょうか。留学生から応募があるもののどうしたら良いか分からないという状況にならないためにも、今後の回復が期待される今のタイミングで留学生の意識・動向を知り採用に活かしてはいかがでしょうか。 また、留学生を受け入れる際のポイントなどは採用の知恵袋2023年5月号「留学生アルバイト、小さな意識で大きな戦力」でも紹介しています。そちらも是非ご参照ください。
*=*=*=*=≪日本の職場はどう映っているの?≫*=*=*=*=
学生調査と留学生調査双方で日本の働く環境についての印象を聞きました。
右上の「アルバイト職場は研修や育成がしっかりしている」について「とてもそう思う」「そう思う」の合計は学生・留学生いずれも5割を超えました。今後もアルバイトを受け入れ長く働いてもらうには、こうした丁寧な研修・育成を継続していくことが重要でしょう。また、日本国内では賃上げの必要性が叫ばれるなか「日本の賃金水準は魅力的である」は肯定的な学生が4分の1程度である一方、留学生の半数以上が魅力的だと感じていることが分かりました。
「日本の職場は外国人が働きやすそうだ」については、留学生のほうがやや肯定的ではあるものの「とてもそう思う」「そう思う」の合計と「そう思わない」「まったく思わない」の合計は拮抗しており、日本のダイバーシティ経営の浸透はまだまだ道半ばだと言えそうです。