人材活用事例 「わが社の"いいね!"」

2018年12月28日

#外国人材#育成・定着#飲食業

外国人スタッフ育成の鍵は理念共有による団結力アップ

外国人スタッフに研修を行っている様子の写真

今回クローズアップする人材活用の事例は「株式会社ねぎしフードサービス」

  • ● 社名/株式会社ねぎしフードサービス
  • ● 創業/1981年6月
  • ● 本社所在地/東京都新宿区西新宿7-17-7 廣田ビル2F
  • ● 資本金/5,000万円

外国人スタッフも含め働く人に選ばれる企業を目指して(2018年12月28日追記)

飲食店のみならず、多くのサービス業で外国人スタッフが活躍するようになった昨今、再びねぎしフードサービスの石野氏に外国人スタッフの育成等についてお話を伺いました。


「中国人スタッフの教育に尽力してくれた施さんは、現在人財共育部の社員として活躍しています。月に十数回実施される入店前研修の講師として、経営理念の共有から担当してくれています。入店前研修は日本人・外国人の区別なく一緒に実施するのですが、中国人の彼女が伝えることで日本人スタッフの理解度も高いように感じますね」(執行役員 人財共育部長 石野氏)。


店長業務を担う中国の方など、外国人の正社員も増加しています。研修に使用する動画にも中国語のテロップを入れるなど、一緒にトレーニングを行う工夫もされています。「100ステッププログラム」と名付けられた評価制度も透明性の高いもので、100項目にまとめられた必要スキルの習得度合いによってキャリアアップするというもの。外国人向けには日本語の習熟度の項目が追加されるものの、同じ評価制度が用いられます。


「外国人採用を開始した当初は中国の方がほとんどでしたが、現在はベトナムの方が増加しています。外国人スタッフの中では4割強を占めるほどになりました。ベトナム人の社員採用が決まったため、資料や教材の翻訳、教育などを強化する予定です。『親切』など経営理念に対してはベトナムの方の方が馴染みがいいように思います。一方で日本語の読み書きについては中国の方が圧倒的に習熟が早いです。今後より多国籍化が進むと思われます。それぞれの国の文化慣習を理解し、丁寧に対応していきたいですね」(石野氏)。


2009年ごろには外国人スタッフの比率は35%くらいまで上昇しましたが、メディアなどでその様子が紹介されるようになって日本人スタッフの応募が急増しました。今では求人メディアからの応募者のうち8割は日本人。外国人スタッフの応募は友人知人からの紹介が多いそうです。言葉も文化慣習も違う外国人スタッフが大切な仲間として受け入れられ、イキイキと働ける職場は、日本人にとっても良い職場に違いない。求職者がそう考えるのも当然のことではないでしょうか。


「より働きやすい環境を整え、働く人に選ばれる会社にならなければ」と語る石野氏。今期からは[強いチームは良い人間関係から]をスローガンに新たな取り組みを開始しています。
「ねぎしの思い(経営の目的)」のひとつに「働く仲間の幸せ」が挙げられています。仕事を通じて自分自身の成長を実感し、幸せを感じることのできる職場、ここで働いてよかったと心から感じてもらえる会社を目指し、ねぎしはこれからも進化し続けます。

(2018年12月28日追記ここまで)


2016年3月8日

外国人スタッフの価値観とお客様、日本人スタッフとの擦れ違いから生まれた焦り

ねぎしでは、現在全アルバイトのうち25%が外国人。日本人、外国人が共に協力し合いながら「ねぎしならでは」の価値をお客様に届けています。しかし、ここまでお客様に喜んでいただき、スタッフが分け隔てなく働けるようになったのは、ねぎし全員の努力によるものです。
初めて外国人を採用したのは、人手不足で悩んでいた東京の秋葉原店。当初は、「落ちているゴミは拾う」「食事に髪の毛が入っていたら取り替える」など、日本人スタッフが当然だと思っていることも外国人スタッフにとっては当たり前ではなく、価値観や働き方の違いを理解し合えずスタッフ間で信頼関係が生まれづらい状態になっていました。

「ねぎし」を支えるスタッフたちの写真
ねぎしを支えるスタッフ

想いの共有が外国人スタッフへの最大のケア

秋葉原店の課題を聞き、「Fパートナープロジェクト」という外国人スタッフの支援を開始しました。初めの一歩として、外国人スタッフにアンケートを実施。浮き彫りになったのは、「言葉がわからない」「店舗で日本人スタッフに溶け込めない」など、ねぎしで働く上での不安でした。外国人スタッフが働きやすくするためには、何をすべきなのか。まず取り組んだのは、ねぎしの根本にある「ねぎしはお客様のためにある」「親切の文化」などの理念の共有です。外国人スタッフは、気遣いができないのではなく、文化慣習が違うため分からないだけ。ねぎしが大切にする理念を伝えていくことで、どのような想いを大切にし、どのように行動へ移していくべきなのか、少しずつ理解してもらえるはずだと考えたのです。

外国人スタッフの研修に架け橋となれる中国人スタッフが取り組みの先頭に立った

まず、ねぎしの理念を理解している中国人スタッフの施さん(シさん)(中国籍)に理念を中国語に表現してもらい、他の中国人スタッフへの共有を始めました。その後、施さんから他のFパートナーへ理念の内容を広める「リフレッシュ共有」という研修をスタート。同じ文化慣習の先輩社員から学ぶことで、Fパートナーにねぎしの理念への理解が深まったと思っています。また、店舗内の意識や行動の教育も施さんが積極的に担当。施さんは、近くに中国語で話すスタッフがいると「ここは日本なんだから、日本語で話しなさい」と注意します。日本人スタッフではなく、同じ外国人スタッフが注意をすることで納得感があり、行動の変化につながります。

スタッフルームで中国語を教える様子の写真
スタッフルームで中国語を教える

想いを共にできる環境は外国人スタッフの励みに

理念教育の結果は、少しずつ芽生え始めました。お客様からのクレームが減り、お褒めの言葉をもらえるようになりました。店舗のアンケートハガキで受け付けている「本日輝いていたスタッフ」に多く記載された人に授与される「親切賞」では、外国人スタッフの丁さん(テイさん)(中国籍)が5位以内にランクインしました。また、お客様だけでなく、共に働く社員も「Fパートナーは優秀でレベルが高い!」と賞賛をしています。その結果、外国人スタッフがねぎしで働くモチベーションも上がっています。お客様からのハガキに記載されているお褒めの言葉を各店舗で読み上げる場では、「自分もこうなるために、こういうことができるはず」など、外国人スタッフが意欲的にフィードバックを受ける姿に、他のスタッフも刺激を受けています。
また、正社員登用第1号も誕生しました。アルバイトとして働き始めた呉さん(ゴさん)(中国籍)は、「ねぎしで正社員として働きたい」とねぎしに入社をし、現在では、店舗の店長として活躍しております。決め手は「ねぎしはきちんと人として見てくれる」とのことで、Fパートナープロジェクトの成功を物語っています。

株式会社ねぎしフードサービスでの研修の様子
お客様に笑顔で接客できるように研修も行う

外国人スタッフと日本人スタッフが相互理解をし理念を共にするワンチームができあがった

今ねぎしでは、日本人スタッフと外国人スタッフが相互理解をしながら協働しています。なぜかというと、大事にしている理念や考え方を共有することで、お互いを思う意識や心がけが生まれたからだと思っています。「日本人スタッフだから」「外国人スタッフだから」という区分けはなく、皆でねぎしの理念を理解し、ワンチームとして体現する。これからも、ねぎしならではの価値を提供できるように、日本人スタッフと外国人スタッフが一つのチームとして取り組んでいきたいと思っています。

株式会社ねぎしフードサービス 人財共育部長 石野直樹さんの写真
人財共育部長 石野直樹さん