各種調査
2023年06月30日
シニアの就労参加は進むのか、企業の採用実態とミスマッチをひもとく -「シニア層の就業実態・意識調査2023」分析レポート-
株式会社リクルートの調査研究機関『ジョブズリサーチセンター』では、シニア層の就業実態および意識を、シニア個人と企業双方の視点から捉えるため、2016年から4回にわたり「シニア層の就業実態・意識調査(個人編・企業編)」を実施しています。本レポートでは、過去の結果も踏まえ、シニアの就労参加の状況、企業のシニア採用の実態や課題をまとめました。
調査ダイジェスト
ポイント1. 働きたくても働けないシニア
60~74歳のシニアの就労意欲は、2016年から少しずつではあるものの着実に高まり、60代以降でも働くということが、より身近になっていることが分かりました。一方で、働きたくても働けないシニアもいる、という実態も見えています。現在非就業のシニアのうち、約4人に1人が「ぜひ就労したい」もしくは「やや就労したい」と考えています。しかし、非就業かつ就労意欲があるシニアに5年以内の仕事探しの経験を聞いたところ、実に53.7%が、仕事探しをしたものの仕事が見つかっていない、という状況でした。シニアの就労参加を促すには、就労意欲はあるものの働けていないシニアを一人でも多く就労につなげられるよう、まずは取り組むべきではないでしょうか。
ポイント2. シニア採用に積極的ではない企業が7割弱
人材確保が企業にとってより重要なテーマになっていますが、企業のシニア採用への意欲は2016年から大きく変わらず、正社員とアルバイト・パートどちらについても、シニア採用に積極的ではない企業が7割弱を占めます。積極的ではない理由は、健康不安や能力・スキル不安を上回り、「特に理由はない」が最高。人材不足に直面している企業の一部でも、シニアに対して明確な不安がないにもかかわらず、何となく採用を検討していないことが分かりました。一方、積極的な企業に理由を聞くと、「求める人材像にあっていれば、年齢は関係ないから」が最も高く、シニアだから採用する・しないではなく、募集ポジションで求めている人材像にマッチするかどうかを、応募者ごとに見極めていることがうかがえます。
ポイント3. シニアは週3~4日、1日3~5時間程度の働き方を希望
シニアの就労参加が進むには、企業がシニア採用に積極的になることに加え、シニアが働きたいと思える求人募集が増えることも重要です。企業が雇用するシニア従業員の就業実態と、シニアの希望する条件を見比べると、正社員では実態と希望にあまり相違がありませんが、シニアが最も希望しているアルバイト・パートでは、大きく乖離があることが分かりました。勤務日数や勤務時間について、実態ではフルタイム勤務のような働き方が主流であるのに対して、シニアには、週3~4日や1日3~5時間程度の、より緩やかな働き方が望まれているようです。また、シニア採用に対して、企業もシニア自身も「体力」を気にしている様子が見受けられました。加齢に伴い体力は落ちていくものです。シニアに長く活躍してもらうには、シニアの体力を考慮した仕事の割り振りや働き方を取り入れることが重要だと言えそうです。
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