採用の知恵袋

2023年08月22日

#シニア#採用

採用の知恵袋 2023年8月号 ―シニア雇用vol.1 実態を知り、「なんとなく〇〇」を払拭―

働くシニアの活躍が注目されていますが、弊社が行った調査ではシニア雇用に「積極的ではない」と回答した企業の割合は約7割で、この数字は2016年、2018年、2021年調査から大きく変化していません。「なんとなく組織になじむか不安」「なんとんなく働く上で制約がありそう」という理由で活躍可能性を閉じることのないよう、多様な人が活躍できる職場づくりをしていきましょう。
「採用の知恵袋」では、企業から寄せられる質問に対して、調査研究の結果や企業・行政団体との取り組み事例をもとに回答します。今回はセンター長の宇佐川が答えます。

Q.

最近、アルバイト・パートの募集をかけると、シニアからの応募が増えました。現在弊社にはシニア従業員がおらず、積極的に採用できずにいます。とはいっても少子高齢化が進んでいるので、継続的に人材を採用していくためには、シニアに向けた仕事づくりや短時間勤務の働き方などをつくっていくべきでしょうか。(九州エリア/IT関連業)

A.

シニアだから特別な仕事を用意しないと、短時間勤務の仕事をつくらないと、と思いすぎていませんか。もちろん体力や健康状態に配慮することは必要ですが、年齢だけで判断せず、面接時や働く中ですり合わせていくことが大切です。また短時間勤務などの働き方は、シニアだけでなく、主婦・主夫や学生も求めています。柔軟性のある働き方を準備することは、シニアに限らず採用力の向上に繋がります。

8月号、9月号の2号に渡ってシニア雇用について考えます。8月号は「実態を知る」、9月号は「採用・定着のポイントを知る」をテーマにお届けします。※本記事内では、シニアを60歳以上と定義しています。

解説

◇ 60代のシニアの就業率は大きく上昇傾向、70代は微増

まず、総務省・労働力調査で最近のシニアの就業率についてみてみましょう。
2002年からの20年間で60代のシニアの就業率は大きく上がっています。60~64歳では20pt以上、65~69歳では15pt以上と定年延長や継続雇用制度の導入もあり伸びが大きい一方で、70歳以上は20年間で5pt弱の微増にとどまっています。

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◇ 70歳以降もまだまだ働きたいシニアとシニア雇用に積極的ではない企業

次に、弊社が行った「シニア層の就業実態・意識調査2023(個人編)/(企業編)」で個人側と企業側の意識についてみてみましょう。

まず、個人に「何歳くらいまで働きたいと思うか」と聞いたところ、各年代で現在の年齢+5歳程度働きたいと回答した人が多く、現在70~74歳の人でも75歳以降も働きたい人は8割程度いる(個人編p.38参照)ことがわかりました。60歳時に「65歳までは働きたい」と考えていた人が、実際に65歳になったときには「この調子だと70歳まで、いや75歳くらいまでは働けそうだ」と感じているのではないでしょうか。

その理由としては、「生計維持のため」という人もいますが、ほとんど変わらない割合で「健康維持のため」「社会とのつながりを得るため」といった理由も上位に上がっています(個人編p.40参照)。一方で、実際の仕事探しでは、「年齢の制限が低い/幅がせまい」と感じている人が最も多く(個人編p.37参照)、働きたい気持ちはあるものの、選べる仕事が豊富にあるとは感じていないようです。

次に、企業に「シニア層の採用についてどの程度積極的ですか」と聞いたところ、いずれの雇用形態でも「積極的」と回答したのは3割にとどまり、人材が不足している企業でも、「積極的ではない」と答えた割合が一定数存在しました(「シニア層の就業実態・意識調査2023」分析レポートp.6)。さらに積極的ではない理由を聞くと「特に理由はない」と回答した企業が最も多く、「人員が充足しているため」「健康状態、体力が不安なため」が続きました。

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◇ 固定的イメージを払拭し、個人を見て判断を

上記の調査にもあるように、「なんとなく今いる従業員と同じ年齢層がいい」という思いや、シニアに対する「なんとなく組織になじめなさそうだ」「なんとんなく働く上で制約がありそうだ」といった固定的なイメージが先行していないでしょうか。もちろん、配慮をすることは大切ですが、「シニアだから」と年齢で判断することなく、本人の希望や実情に合わせて判断していきましょう。

次回の9月号(9/14リリース予定)では、シニアの希望する働き方、またそれを踏まえた採用や定着のポイントについてご紹介します。