人材活用事例 「わが社の"いいね!"」
2023年02月10日
「業務分解」×「思い込みをなくした採用活動」でWEBエンジニアを確保
今回クローズアップする人材活用の事例は「ホライズンテクノロジー」
求人を出すときに、漠然と「アルバイトを採用したい」「正社員じゃないとダメだ」と条件を決めてしまうことはありませんか。
WEBシステム開発などを手掛ける福岡県の「ホライズンテクノロジー」では、雇用形態や経験にとらわれない採用活動によって、WEBエンジニアの採用に成功しました。その経緯や考え方のポイントについて、代表取締役の大谷さんに伺いました。
- ● 社名/ホライズンテクノロジー株式会社
- ● 創業/2020年
- ● 事業/新規事業支援、WEBシステム開発など
- ● 従業員数/6名
- ● 本社所在地/福岡県福岡市西区今宿駅前1-10-28
「ホライズンテクノロジー」の事例から学ぶ人材活用のポイント
- ポイント1 「正社員にしかできない仕事」といった思い込みをなくす
- 先入観を取り除いて、本当に必要な人材像を考える
- ポイント2 業務を切り出してできるところから任せてステップアップする
- 難易度や責任を見定めて業務を切り分ける
- ポイント3 仕事の満足度や必要なサポートをヒアリングする
- 将来やりたい仕事や任せたい仕事に対して感じていることを定期的に確認する
WEBエンジニアとして学生を採用
ホライズンテクノロジー株式会社は、2020年8月に立ち上がった設立間もない会社で、クライアントの新規事業支援やシステム開発、自社WEBサービスの企画開発などを行っています。
同社では2022年9月に初めて採用活動を開始し、売り手市場で採用難度の高いWEBエンジニア職として、学生アルバイトを含めた3名の採用に成功しました。
採用の経緯について、代表取締役の大谷祐司さんはこう話します。
「会社を立ち上げてから副業として運営してきたので、募集をかける前は私を含めて社員2人だけの体制でした。2022年8月から本腰を入れて事業を推進するに当たって、事務職の人材から募集することにしました」
ゆくゆくはWEBエンジニアの採用も考えていたものの、まずは開発プロジェクトにおけるテストやドキュメントチェックなどの事務作業をサポートしてくれる人材を採用する意向でした。軽いPC作業を含めた事務仕事の求人を出したにもかかわらず、なぜWEBエンジニアを採用するに至ったのでしょうか。
求める人材像に雇用形態や経験は関係ない
大谷さんは採用活動の中で、事務以外に新規事業支援やプログラミングの仕事にも興味を持っている応募者がいることに気付きます。
「面接で事業の話をすると、『未経験だけどやってみたい』『将来IT系の仕事に就きたいので興味がある』と反応が返ってきました。福岡市西区で似た仕事内容の求人が少ないことも影響しているのかもしれません。
WEBエンジニアについては『将来募集をかけてみて良い人がいれば採用したい』くらいに考えていたので、嬉しい誤算でしたね」
学生アルバイトでも良い人材がいれば採用しようと思えた背景には、IT業界特有の事情もありました。IT業界では、プロジェクトの中に社員よりも業務委託のパートナーの方が多いということも多く、「正社員にしかできない業務」という思い込みが少なかったのです。
新たに入社した方にはWEBエンジニアとして、事務以外の仕事をなるべく多く任せることになりました。
学生にとっては学びと緊張感のある仕事経験が魅力
今回アルバイトとして採用された大学4年生の末永唯人さんと伊藤龍之介さんにもお話を聞きました。
「事務職として応募しましたが、面接で話を聞く中で『プログラミングや事業企画の仕事もできるんだ』と興味を持って入社しました。こういう仕事内容の求人はなかなか見つからないですし、友人に話すとうらやましがられるので、やってみたい学生は多いと思います」と末永さん。
伊藤さんは、仕事の緊張感についてこう話します。
「これまでは、自社サービスに関する市場調査を担当していました。これからはクライアントから依頼された案件の担当になるので、ミスが許されない、より緊張感のある仕事を経験できると想像しています」
学生のアルバイト先としては飲食業界や教育業界の人気が高いですが、そういった仕事とはまた少し違った学びや緊張感のある仕事に魅力を感じる学生も多いようです。
また、終業時刻が夜遅くなる居酒屋で働いていたときよりも、同社で働いた後に大学で研究するという生活リズムの方が自分に合っていたという感想もありました。
業務を切り出して、できることから任せる
大谷さんは、以前の職場で管理職になったときに自分で仕事を抱え込み周りに任せなかったことで、メンバーに生き生きと働いてもらえなかった経験から、人に仕事を任せることはとても大事だと言います。
「社内の業務であれば、多少の遅れや不具合があっても対応できます。お客様に納品する仕事ではもちろんクオリティやスピードが求められますが、個人情報を扱うシステム開発など責任の大きい業務もあれば、社員同士の連携でリカバリーしやすい比較的責任の小さい業務もあります。
知識や経験がなくても、そういった業務の切り分けを工夫すれば任せられる仕事はたくさんあります」
末永さんと伊藤さんは、同社の自社サービス開発に当たってのマーケットリサーチや、初歩的なプログラミングを任されました。こうした業務の進め方について、伊藤さんはこう話します。
「担当案件が始まると、学びながら働けるのが良い刺激になっています。毎回不安はありつつ何とか形になっているのは、先輩の皆さんに分からないことを質問しやすい雰囲気があるからですね。あと、大谷さんはとても褒め上手で、モチベーションが上がります。
職場の雰囲気が良くて長く働ける仕事を探していたので、とてもありがたいです」
同社ではリモートワークができる環境を整えていますが、海の見える職場環境がリフレッシュにつながり出社率が高いので、社員同士のコミュニケーションも取りやすくなっています。
本人の満足度や必要なサポートをヒアリングする
仕事を任せるといっても、本人の意思に関係なく任せっぱなしにするだけでは当然うまくいきません。日々のコミュニケーションのポイントについて、大谷さんに聞きました。
「大きい会社になると定期的な1on1ミーティングなどが必要ですが、今は日常的になるべくコミュニケーションをとるようにしています。
本人の『やりたい』を引き出して、その思いに合った仕事を任せるために、
1 今の業務に満足しているか
2 (最長1年間くらいの範囲で)将来どういうことをやっていきたいか
3 そのために何かサポートしてほしいことはあるか
の3点は意識して確認しますね。
新規事業支援が多いので、それぞれに合った仕事を任せやすい面もあります」
「どういう仕事に関わりたいか」を面接時から一貫してヒアリングしてサポートを続けることが、社員の活躍につながっているようです。
ホライズンテクノロジー社の事例は、社員の雇用形態や経験に関わりなく、本人の「やりたい」に合わせてできる業務を切り出して任せていくことがポイントでした。貴社の人材活躍に向けて、ぜひ参考にしてみてください。