人材活用事例 「わが社の"いいね!"」
2015年04月23日
朝の業務を高齢者に任せて 人手不足解消・業務効率改善を実現!
今回クローズアップするのは「株式会社インターオート浜西」
- ● 社名/株式会社インターオート浜西
- ● 創業/1989年
- ● 代表者/内山凱也氏
- ● 本社所在地/浜松市西区伊左地町8502-6
朝の時間帯は学生や主婦が採用しづらい
「当社運営のガソリンスタンド『ガスオーレ』は、朝8時の営業開始に向け、毎日7時前後から開店準備の作業を行っています。この時間帯、主婦は子供の面倒を見ていますし、学生はまだ眠い頃(笑)。何度もアルバイターの求人を出しましたが、応募は全くありませんでした。仕方なく、社員が交代で早朝出社して対応。しかし、本来は営業などに活躍すべき社員が開店準備をしなければならないのは、もったいないという思いがありました。
そんな時、以前から当社の顧客だった鈴木さんが、前の職場を辞めると聞きました。そこで、早朝と夜だけ、当社で働いてみないかと勧めたのです。入社してから、今年で7年目。鈴木さんは、当社にとって貴重な戦力です。
鈴木さんはご高齢なので、業務用パソコンなどの操作を覚えるスピードは、正直言って遅いです。そこで、分かりやすいマニュアルを手作りするなど、お年寄りでもスムーズに働ける環境を用意しようとがんばっています」
常連客やスタッフとのコミュニケーションが強みに
「鈴木さんが開店準備をしてくれるおかげで、私たち社員は、営業など本来の業務に集中できるようになりました。その分、業務効率は上がったと思います。
鈴木さんは人生経験豊か。過去には接客業の経験もあるため、お客さまやスタッフとのコミュニケーションが上手ですね。来店客の方とは、いい意味でマニュアルを超えたやりとりをされています。おかげでリピーターになってくれる方もいますし、何気ない会話から車検やオイル交換をご案内し、売り上げにつなげてくれるケースも少なくありません。
若いスタッフにも、いい影響を与えているようです。鈴木さんは暖かみのある人柄。多少失敗しても、周りが自然に『私たちでカバーしてあげよう』という雰囲気になります。昔に比べると、スタッフが互いに助け合おうとする気持ちが強くなったと思いますね。
仕事は早いとは言えませんし、機械操作も苦手な鈴木さん。でも、そんな欠点を補ってあまりある長所が、鈴木さんにはあると思います」
身体が動くうちはきちんと働いて、少しでも世の中に役立ちたい 鈴木善彦さん(71歳)
健康的に生きるためにも、働き続ける方がいい
「60代前半まで、パンの移動販売をしていました。労働時間が長くて体調を崩してしまい、これ以上続けるのは難しいと感じたのです。客として通っていたこのスタンドで大栗さんから声をかけられ、ここで働こうと決意しました。
ある方から、『働くということは生きること。動けるうちは働いて、少しでも世の中の役に立つべきだ』と教わったことがあります。私は70歳を過ぎました。世間的には、隠居すべき年齢かもしれません。でも、会社から『もういいよ』と言われるまでは、ぜひ働きたい。働かせてもらっているってことは、誰かのために役立っているってことですからね(笑)。
健康に不安が生じ、働くのを辞める高齢者は多いと思います。でも、家でテレビばかり見ていては、健康にいいはずがない。仕事を通じて身体を動かすことが、神様からいただいた命を大事にすることにつながるんじゃないかな」
お客さまや若いスタッフとの出会いが刺激に
「お客さまと毎日接することが、一番の喜びです。常連さんとのやりとりは楽しいし、新しいお客さまとの出会いにも発見があります。例えば、こちらが喜びをもって接すると、お客さまも笑顔になってくれる。そういう学びがあると、嬉しいんです。
若いスタッフと一緒に過ごすことも張り合いになっています。大栗さんとは親子くらいの年齢差だし、学生のアルバイターは孫みたいなもの。彼らと触れ合うことで、若い気持ちが保てているのかも知れません。
年齢的に、体力が衰えるのは仕方のないことです。私も無理をしないようにしていますし、会社側も『無理をしないで』といってくれます。体調が悪いときは電話で早めに伝えると、勤務を他の人に変わってもらったり、勤務時間を調整してくれたりもします。そうした気遣いに、これからもぜひ応えていきたいと思っています」
豊富な人生経験を生かしてお客さまや他のスタッフとうまく溶け込める マネージャー 大栗さん
接客業で生きるシニアの経験
「朝の時間帯に働いてくれるアルバイターを確保するのは、今後も難しいでしょう。ですから、万が一鈴木さんが退職されたら、高齢の方を代わりに採用する可能性は高いと思います。
特に接客業の場合、高齢者を採用するメリットは小さくないと思います。接客マナーなどを教える必要はありませんし、豊富な人生経験を生かしてお客さまや他のスタッフとうまく溶け込める可能性も高いでしょう。もちろん、「仕事を覚えるまで時間がかかる」という覚悟も必要ですが、シニアのパワーを引き出すことができれば、企業には大きなメリットがあると思うのです」
インターオート浜西が企業に提案する『プチ勤』活用のポイント
- 早朝勤務への対応力
- 学生や主婦のアルバイターが確保しにくい朝の時間帯でも、高齢者なら活躍できる
- マニュアルの整備
- パソコンや複雑な機械を操作させるときは、分かりやすいマニュアルの整備が不可欠
- 顧客との距離
- 人生経験豊かな高齢者は、コミュニケーション能力を生かしてリピーター作りに貢献できる