人材活用事例 「わが社の"いいね!"」

2023年09月19日

#アルバイト・パート#シニア#採用#短時間勤務#飲食業

「アクティブなシニアを見逃さない」ことが人材不足解消とホスピタリティ向上につながる

物語コーポレーション

今回クローズアップする人材活躍の事例は「物語コーポレーション」

国内外に650店以上の飲食店を展開する株式会社 物語コーポレーション。焼肉やラーメン、寿司・しゃぶしゃぶなど、展開ブランドも多彩です。同社は、様々な属性の方、多様な働き手の受け入れを早くから進めていました。学生・主婦だけでなく、シニアや外国人、性的マイノリティ、障がい者などの活躍を積極的に推進しています。
今回は「シニアの採用・活躍」にフォーカスし、シニアの働き方が同社・店舗にどの様な効果をもたらしているか、また採用成功、早期活躍を実現するための工夫をうかがいました。

  • ● 社名/株式会社 物語コーポレーション
  • ● 創業/1949年
  • ● 主な事業/外食事業の運営およびフランチャイズチェーン展開
  • ● 従業員数/1,408名、国内時間制従業員26,219名(2023/6/30時点)
  • ● 店舗数/国内665店舗、海外21店舗(2023/6/30時点)

「物語コーポレーション社」の事例から学ぶ人材活用のポイント

問題
人材不足の深刻さが増す中、「開店前準備」「早朝のみ」などシニア人材の勤務範囲は限定的
原因
「色々な仕事がしたい」「人とのコミュニケーションが好き」といったアクティブなシニアの存在に気づいていなかった
取組
・求人情報におけるシニアを重視した表現の工夫
・面接時にシフトや対応できる業務について細かく要望を聞く
成果
シニア人材が1年で5割増、人材不足感が緩和
お客様との細やかなコミュニケーションや丁寧な清掃など、顧客満足度が向上

シニアは「限定された仕事」しか任せられない存在ではない

株式会社 物語コーポレーションは、60代以上のシニアを早くから採用していました。一方で、働き方や仕事内容は限定されていた、と同社の営業企画部パートナー採用・定着グループグループ長の川添良介さんは言います。

「シニアスタッフにお任せしていたのは営業開始前の準備、例えば、店内清掃やメニューの仕込みが中心でした。シニアは早朝勤務を好み、コミュニケーションは苦手で黙々と働くという固定観念があったためです」

しかし、「シニアスタッフ=開店準備要員」という固定観念は、大きく崩れることになります。
人材獲得競争が激化する中、従来は学生・主婦が中心となって担っていた業務や時間帯についても、シニア採用に舵を切る必要がありました。そこで川添さんは、店舗で働くシニアスタッフにヒアリングを重ねたところ、「コミュニケーションが苦手」や「早朝のみ」どころか、色んなお客様やスタッフとの接点のある時間帯の勤務を希望するアクティブなシニアの存在に気づいたのです。

「当社で働くシニアスタッフの6~7割はアクティブ、という手応えを得ました。であれば、開店準備だけと限定せず、積極的に活躍してもらおうと動き出したのが、2022年のことです」

パートナー採用・定着グループの川添さん
パートナー採用・定着グループの川添さん

シニアは一度定着したら長期的に活躍してくれる

同社では、ヒアリングを基にシニアの仕事探しの傾向や得意・苦手な業務を整理して各店舗に共有すると同時に、求人情報の見直しを行いました。

「シニアに向けて求人情報を発信する時は、『学生も歓迎』などその他の人材については基本的に触れません。『学生と比べられたら採用されないのではないか』とシニアの応募者に思われますから。
ほかにも、『重たい物を持つ仕事はありません』など細部まで配慮を欠かしません」

また、「シニアが活躍できるかどうかは、店長の影響が大きい」と川添さん。
シフトや仕事内容については、店長がシニアスタッフの要望を聞き、それに沿った配置を行うことが大切です。社内で共有された事例やノウハウを参考に、できる業務と難しい業務についてシニアスタッフ本人と面談し、任せる範囲を細かく設定するように促したのです。

「あくまで傾向ですが、若手の人材にとっては体力やスピードが必要な業務、シニアにとっては丁寧さや気配りが必要な業務など、個人個人にはそれぞれ得意な業務があります。そういった特徴に合った仕事を任せることが大切です。
また、学生や主婦の方と勤務シフトを補完し合えることや、卒業などによる離職がなく一度定着したら長く働いてくれるのもシニアの特徴です」

同社では多くのシニアが活躍している
同社では多くのシニアが活躍している

アクティブなシニアの動きは若手スタッフに好影響を与える

シニアの活躍がもたらす効果として、川添さんはホスピタリティの向上を挙げます。

「例えば妊婦のお客様が来店された時。あるシニアスタッフは、エアコンの風が妊婦に直接当たる席を避けたり、体に障らないようにとひざ掛けをお渡ししたりしてくれます。皿洗いも丁寧で、小さな汚れ一つ見逃しません。
やがて、そんな動きに感化された若いスタッフが、真似するようになりました。そしてお客様満足度がアップする効果をもたらしてくれています」

同社の展開する「丸源ラーメン」で働く60代シニアスタッフの沼尻節子さんは、

「飲食業界でもう35年くらい働いてきたので、みんなとワイワイ働くのが性に合っているんです。『自分の年齢でも活躍できそう』と応募しました。勤務する曜日や時間についても『シフトを考慮するので大丈夫です』と面接で言ってもらえたので、安心して入社できました。
もともと体を動かすのが好きですし、若いスタッフが多いので、楽しく仕事できています。重い物を運ぶ時は、ほかのスタッフが手を貸してくれます」

と声を弾ませます。

在籍するシニアスタッフが約5割増加。事例浸透により全店でのシニア活躍を目指す

2022年以降、同社のシニアスタッフの数は約5割増加しました。

「しかし、まだ全体の約4割の店舗でシニア活躍が進んでいません。各店舗に先行事例を共有し、シニアの活躍は、店舗が今抱えている人材不足の解消につながるということを伝えていきたいです。また、アクティブなシニアが活躍すると、店舗のホスピタリティ向上にも効果があると広めていかなければなりません。適切な理解と配慮があれば、シニアは長期的に活躍してくれます」

シニアが自分らしさを発揮することで、お客様に喜んでもらえるし、若手スタッフにも好影響を与える。多様な人材の活躍が同社の成長の原動力となり、ひいては社会貢献にもつながっていくでしょう。

同社ではシニアだけでなく、多様な人材の活躍を推進
同社ではシニアだけでなく、多様な人材の活躍を推進