人材活用事例 「わが社の"いいね!"」

2021年04月20日

シニア(高齢者)世代の継続雇用を実現した、在宅ワーク導入事例

りらいあコミュニケーションズ株式会社チームマネージャーの茅野達郎

今回クローズアップする人材活用の事例は「りらいあコミュニケーションズ」

新型コロナをきっかけに、在宅ワークを中心としたテレワークに取り組む企業が増えてきています。りらいあコミュニケーションズは、在宅ワークの導入により、従業員の“働きたくても働けない”労務環境を解消しました。その取り組みついて、チームマネージャーの茅野達郎さんとオペレーターのAさんにお伺いしました。

  • ● 社名/りらいあコミュニケーションズ株式会社
  • ● 創業/1987年6月
  • ● 所在地/東京都渋谷区代々木2-2-1 小田急サザンタワー16F
  • ● 資本金/998百万円(2020年3月末現在)

メンバーの6割がシニア世代。ワークライフバランスの難しさ

りらいあコミュニケーションズは、コンタクトセンターやバックオフィスなどの顧客接点を中心としたBPOサービスを提供する企業です。茅野さんは、大手ソフトウェアメーカーのテクニカルサポートチームのマネジメントを担当。50名のオペレーターのうち、約6割が55歳以上のシニア層とのことです。
「弊社では、人材不足の課題と、シニア層の働く場所が少ない課題を同時に解消するため、シニア世代の雇用を進めています。私のチームでは、労働意欲が高いシニア世代を積極的に採用し、皆さんに活躍いただいています。しかし、通勤にかかる体力面での負担や、身内の介護といったプライベートな問題から、どうしても欠勤率が高くなってしまうという課題を抱えていました」と茅野さんは言います。
働き方のフレキシビリティを高めたいと、数年前から在宅ワークの導入を検討していましたが、お客様企業との契約内容、業務面でのリスクやセキュリティなどクリアすべき問題が多く実現には至らなかったそうです。

状況が変わったのは、新型コロナ感染拡大防止に伴い、3密を避けるために政府がテレワークを推進し始めた2020年の2月。お客様企業に許可を取り、急ピッチで自宅オペレーションが行えるインフラ環境を整えました。5月2日からセンターを一時閉鎖し、完全在宅のオペレーション業務がスタートしました。

在宅ワークで生じたコミュニケーションの変化

“職場から離れ、1人で仕事をする”在宅ワークに切り替えたことで、チームにさまざまな課題が浮上しました。「一番大きかったのは、コミュニケーションの低下です。これまでは、『いま、誰が、どうしているか』という情報が一目瞭然だったのが、在宅ワークでは、お互いに何をやっているのか、どのような状況なのかが分からない。目の前にいないことに起因するもどかしさや不安などを感じるようになったのです」(茅野さん)。
茅野さんは、グループチャットの「通話中」、「離席中」、「保留中」といった稼働状況を可視化するリアルモニターをチーム間のコミュニケーションツールとして利用し、メンバーの状況把握とフォローに取り組みました。
「チャットやステータス表示の様子から、想像力を働かせて、見えない部分を感じ取るようにしました。オフィスで働いていたときは、頻繁に手を挙げて質問していた人が、チャットシステムに切り替えてから、反応が見えなくなってしまったことも。文字を打つのが苦手ということだったので、『ゆっくり、1文字ずつ打ってくれればいいから』と個別にフォロー。業務習熟度が低い新人オペレーターは、特に心理的負担が大きいため、管理者とのコミュニケーション頻度を意図的に増やすように心がけました」。

遠隔でチームメンバーの様子を見守り、指示を出す茅野さんの様子
遠隔でチームメンバーの様子を見守り、指示を出す茅野さん

ワークライフバランスの向上により、欠勤率が15%以上から1%台に

在宅ワークの導入から、1年が経過した今、課題だった働き方の改善には「プラスの効果があった」と茅野さんは言います。
例えば、ベテランオペレーターAさん(63歳)は、持病を抱えており、通勤にかかる負担に悩まされていました。さらに、休日は離れて住む親戚の世話もあり、疲労が溜まりがちに。欠勤率が15%以上に至るなど、“会社で働きたいけれど、続けるのは難しい”というジレンマを抱えていたそうです。
在宅ワークの導入により出勤の負担が軽減し、欠勤率は10%以上に低下。その後、さらに、退勤時間を16~18時の間で調整可能にした「時短勤務制度」を導入したことで、プライベートの時間を有効に使いながら働くことが可能に。現在、Aさんの欠勤率は1%台まで低下したそうです。

インタビューに応える茅野さん
「優秀な方が働くことを諦めなくて済む在宅ワークは企業にとってもメリットがある」と話す茅野さん

在宅ワークには自宅の設備、家族の理解などの問題も。仲間との雑談で発散

在宅ワークを体験したメンバーは、どのようなことを感じているのでしょう。現場の声をAさんに伺いました。
「やはり、状況を目で見えないことは大きいですね。上司に質問のチャットをしてもすぐに回答がない場合などは、お客さまを長く待たせてしまうことがありました」。
また、Aさんは、仕事用のスペースを確保することの難しさ、家族の理解、静粛性の問題についても指摘します。「私の場合は、自宅に仕事用のスペースを確保し、家族には仕事が終わるまで声をかけないようにしてもらうなど、働く環境を整えることができましたが、メンバーのなかには、スペースが確保できなかったり、家族の理解がなかったり、ペットを飼っていたり、近くで工事が始まって騒音が煩いなど、自宅での働く環境づくりに苦労されている方もいらっしゃいました」。
在宅ワークは、職場から離れ1人で働く仕事なため、自発的かつ自律的に仕事を進めることが求められます。それができる人とできない人では、得られる効果も大きく変わるかもしれません。
「1人の業務とはいえ、連帯感も大事だと思うので、LINEでグループを作るなどして休憩室でおしゃべりするのと同じ感覚でお話しています。顔つきあわせて話せないのは少し寂しいですけども」とAさんは笑顔でお話してくれました。

パソコンを使って在宅勤務をするシニア女性のイメージ
在宅ワークで「働き続けられる自信が持てました」と話すAさん(写真はイメージです)

シニア世代だけでないテレワークで進む「誰もが働ける社会」

りらいあコミュニケーションズの試みは、シニア世代の働きやすい環境作りと優秀な人材の継続雇用という課題に効果を示すことができました。コミュニケーション等の課題はまだあるものの、在宅ワークを含むテレワークは、出産・育児や、介護、病気など、さまざまな事情により働くことを諦めていた人に就労継続のチャンスを与え、企業にとっては人材不足の問題がクリアできるなど、双方へのメリットが期待できるといえるでしょう。