人材活用事例 「わが社の"いいね!"」

2020年01月24日

シニアが仕事で活躍する職場の工夫された取り組み ~勤務スタイル、育成など~

アセットインベントリー株式会社 スタッフの山下さん、山本さん、持永さん

今回クローズアップする人材活用の事例は「アセットインベントリー株式会社」

人生100年時代で注目される「シニアの活躍」。働きたいシニアが元気に活躍し続けられる社会にはどのような会社が求められるのでしょうか。アセットインベントリー株式会社は、棚卸業務やコンビニのレジ業務の代行を行っている会社で、多くのシニアが活躍しています。一般的に体力的な問題や、複雑な機械操作への対応などが心配されることも多い中、どのような工夫があるのか、実際に同社で活躍中の3人にお話を伺いました。

  • ● 社名/アセットインベントリー株式会社
  • ● 創業/1990年12月6日
  • ● 所在地/千葉県柏市あけぼの4−2−23パーソナル1階
  • ● 資本金/5,000万円

アルバイトとのダブルワークで自由な働き方を実現

アセットインベントリーは、主として小売店向けの棚卸業務の代行や、コンビニなどのレジ業務の代行などを行っている会社で、2017年より積極的にシニアを採用しています。もともと会社の設立自体が、アメリカで元気に棚卸業務をしているシニアを見た現社長が衝撃を受け、将来、日本が高齢化社会を迎えても「日本でも同じことができるはず」と起業したことがきっかけでした。

山下さん(57)は、同社がシニアの雇用を積極的に行うようになった初期メンバー。「シニア」というにはまだ若い山下さんですが、同社ではシニアの定義を「50代以上」としています。これは、50代から70代以上まで、幅広い年齢層をチームにすることで、体力や知恵などお互いに無いものをサポートしあえる体制を作りやすいからだそうです。

現在はアルバイトとして、月に10~18日程度、小売店の棚卸業務の仕事をしています。もともとフリーランスでビデオカメラマンの仕事もしているため、ダブルワークスタイルで働いています。
「カメラマンの仕事や体調とも相談しながらシフトが組めるので、無理なく働き続けてきました。これから年を重ねるにつれて、今のように働き方が調整できるのは非常にありがたいですね」。

インタビューに応じる山下さん
「ダブルワークで仕事の楽しさの幅も広がりました」と山下さん

シニア専属の指導スタッフできめ細やかに

同社の働きやすさのポイントとして、シニア専属の指導スタッフが付くことがあげられます。
棚卸業務は、小は数人、大は数百人で顧客先に出向き、チームを作り、チームごと読み取りリーダー機で商品のコードを読み取って在庫確認をしていきます。
入社直後は3〜4人のシニアスタッフに専属の指導スタッフが付き、OJTで業務手順をサポート。初めての業務でも、わからないことがあれば個別にサポートしてもらえるので、一人ひとりにあった仕事の覚え方、スピードで習得できるよう取り組んでいるそうです。加えて、マニュアルもシニア向けは12ポイント以上で文字を読みやすく、また画像や動画などを使ってわかりやすいものに工夫しています。現在山下さんはそのサポートする側にもなり、チームのまとめ役であるトレーナーにも抜擢されています。

在庫確認の作業もコツをおさえることでスムーズに
在庫確認の作業もコツをおさえることでスムーズに

シニア専属の指導スタッフによるOJTは未経験のシニアスタッフに働き続ける自信もつけています。2019年7月からアルバイトとして働く山本さん(61)は、週に4〜5日(週30〜40時間)、コンビニのレジ業務を担当。前職では清掃関係のサービスだったため、まったく異なる業態の仕事、接客やレジ操作に最初は不安が大きかったそう。

インタビューに応じる山本さん
「最初3日間のOJTは手取り足取りで教えて頂きましたね」と山本さん

「OJTで仕事を覚えるなかで、カゴいっぱいの商品を持ってこられたときに読み取り漏れがないようにすること、同一商品を大量に購入されるときに、数え間違いをしないようにすること、お客様が持ちやすいようにレジ袋にきれいに収まるように商品詰めすること等、仕事の流れはもちろんですが、自分が特に気を付けなければならないことをしっかり把握できたことが良かったです」。

現在は自宅から1時間以内の通える範囲の約10店舗を対象にシフトにあわせて出勤しますが、どこの店舗に行っても「山本さんは接客態度、言葉づかいが丁寧だね」と言われるそうです。「できる限り長く働きたいです」という山本さん、今では以前しんどかった階段も軽々登れるようになるなど、健康にも良い効果がでているようです。

短い時間でも働く楽しみ

山下さんと同様、シニアの積極的雇用初期メンバーのひとりでもある持永さん(71)も、アルバイトとして棚卸業務に携わっています。持永さんは以前、月10〜15日勤務していましたが、自宅で足を骨折してしまい、一度は仕事を辞める相談をしました。しかし、同社はシニアながらチームの若者にも気を配り、コミュニケーション力抜群、また業務のベテランである持永さんが辞めてしまうのは惜しいと「籍は残しておいてください。状態を見て、月1回でもいいからシフトに入ってください」と説得。現在は月1〜2回、体と相談しながら働いています。

インタビューに応じる持永さん
「休憩時間に若い世代と話すのが楽しい」と持永さん

「まず、体調と相談しながら働けるのは本当にありがたいですね。また、職場で年齢が幅広いと、お互いをサポートしあえるスキルを持っているので働きやすいです。休憩時間に普通なら知り合えないような若者たちとワイワイ話すのも楽しいもの。バンドをやっている若者のライブに行ったりもしましたよ」。

仕事のスタイルやバックボーンは三者三様。それぞれの環境や希望に合わせて働くには同社の仕事はぴったりなのだと口を揃えます。その裏側には必ずプラスアルファの工夫があります。ダブルワークしやすい働き方、シニア向けに工夫された育成方法、体調と相談しながら働き続けられる環境は多くの働きたいシニアから支持されるでしょう。

シニアの働き方それぞれの事情に合わせた仕事の提供を目指す

最後に取り組みのポイントや今後の展開について、専務取締役の洞さんにお話を伺いました。
「シニアの積極的雇用にあたって私たちが目指すのは『エイジフレンドリーワークプレイス(シニアの働きやすい就労環境)』です。どうすればシニアが活躍できるか社をあげて考え、シニア専属の指導スタッフのほか、備品を扱いやすくするため軽量の脚立を導入、休憩も通常3時間毎であるところ、1.5〜2時間毎にするなど様々な工夫に取り組んできました。
また、シフトに関しては先にそれぞれの都合を聞き、若い年代のスタッフより優先的にシフトに入れています。年金受給者の場合の『この範囲の収入がよい』など、個々の事情にあわせた希望に沿えるように考えています。
しかし、私たちはまだまだシニアの力を活かしきれていないのではないか、とも考えており、もっと実践しながら、工夫を積み重ねて、シニアが活躍できる環境づくりに取り組めるように、コンビニや宅配弁当のFCオーナーになり、チャレンジを続けていきます」。

シニアの働きやすさのポイントについて語る洞さん
「今後も実践を重ねながらシニアの働きやすさをつくりたい」と話す洞さん

ジョブズリサーチセンターが実施した調査によると、アルバイト・パート60歳以上の男女に仕事の目的を聞くと、金銭的な内容の次にくるのは「働いていた方が健康的な生活が送れるから」*です。このようなシニアの「働きたい」に応える社会になるには、同社のような働きやすい環境づくりが欠かせません。シニアの特性に応じた仕事、職場環境づくりを進化させる同社の取り組みは「シニアになっても元気で働く」を定着するためのヒントを与えてくれるでしょう。

*「求職者の動向・意識調査2019」ジョブズリサーチセンターの結果では、「働いていた方が健康的な生活が送れるから」はアルバイト・パートの60歳以上男性は35.3%、同女性は48.0%だった。詳細は下記参照されたい。
https://jbrc.recruitjobs.co.jp/data/data20191212_1278.html