人材活用事例 「わが社の"いいね!"」

2017年09月11日

#シニア#育成・定着

気持ちも体も健康にする取り組みで、働き続けられる職場に

東日本環境アクセス 宇都宮駅ビル事業所 メイン写真

今回クローズアップするのは「東日本環境アクセス 宇都宮駅ビル事業所」

年齢にかかわらず健康に安全に働き、清掃を通して最高の接客サービスを提供することをめざしている、東日本環境アクセス宇都宮駅ビル事業所。その取り組みや成果について取材しました。

  • ● 社名/株式会社東日本環境アクセス
  • ● 設立/1963年3月30日
  • ● 所在地/〒110-0015 東京都台東区東上野三丁目4番12号
  • ● 資本金/1億2,000万円

清掃は接客サービス、気持ちも体も健康でいることが基本

JR東日本グループの東日本環境アクセスは、駅や列車内、商業ビル、ホテルの清掃・環境整備の業務などを手がけています。一般的には、清掃の仕事は重い道具を持ったりして体力勝負・・・といったイメージを持たれがちですが、宇都宮駅ビル事業所では"最高の接客サービス"として清掃を捉えています。
「私たちの仕事はホテルの清掃ですが、お客さまへの接客だと考えています。お客さまとは宿泊客もそうですが、お部屋もお客さまだと思い、もっときれいに、もっとやさしく、といつもスタッフには話しています」と、グループリーダーの黒崎さんは話します。
「そのために、『ありがとう』の心をスタッフ全員が持つことを大事にしています。その上で、清掃技術について話しています。私たちの仕事では清掃を通して接客をしているので、清掃技術ももちろん大事ですが、気持ちの健やかさも大切です。また、きちんと清掃をするためには体力も大事。気持ちも体も健康でいることが基本だと考えています」。

東日本環境アクセス 宇都宮駅ビル事業所 写真1
左より、黒崎さん、佐伯さん、小林さん

朝礼での1分40秒間体操、半年に一度の大幅なシフト変更

宇都宮駅ビル事業所(ホテル部門)には全30名のスタッフが所属し、多くは50歳以上の方。一般的には健康不安やいつまで働き続けられるか、といった不安が出てくる年齢ですが、前向きに気持ちと体の健康のための取り組みをしています。
仕事はまず朝礼から始まります。朝礼スペースで目立つのが「1分40秒間体操」のパネルです。体操は首まわしに始まり、肩まわし、手首足首・・・深呼吸まで9つの体操を組み合わせたものです。準備体操でしっかりと体をほぐして温めてから業務に臨みます。
「必ず毎日1分40秒間体操をするようにしています。清掃の仕事は道具に慣れても、時間がなくて焦ったりすると、ついコードに足をひっかけてしまい転倒してしまうといった事故もあります。体をほぐして温めた後は、他社さん含め、過去の清掃業務による転倒事例などを毎日共有し、注意を促します。また、業務中には怪我をしないような動き方など、チーフから個別に指導することもあります。おかげさまで無事故を維持しています」。
また、スタッフ同士のコミュニケーションを促進する取り組みも行っています。
「一人ひとり得意・不得意はもちろんありますが、スタッフ全員が色々なタイプの158室すべての客室を清掃できるようにしています。普段はシフトでフロア担当が決まっていますが、半年に一度、大幅なシフト変更をするんです。そうすると、色々なタイプの客室に対応するので清掃技術も上がりますし、教えあうこともあるのでコミュニケーションも活性化されます。自然に『ありがとう』と言える環境になるんです」と黒崎さんは教えてくれました。

東日本環境アクセス 宇都宮駅ビル事業所 写真2
黒崎さん考案の1分40秒間体操

足腰や腕の動き方にも工夫して、憧れのベッドメイク

「働き始めて、風邪もひかないようになりました」と佐伯さんは言います。「働き始めたきっかけは子供の後押しなんです。当時49歳だったのでなかなか仕事はないだろうなぁと思っていたのですが、ベッドメイクは昔からしてみたいと思っていて、子供が求人情報を見つけて教えてくれたので応募しました」。
ベッドメイクは大きくて重いベッドを扱うので、足腰の動き方も重要になります。「シーツがビシッと綺麗なベッドに対する憧れもあり、一生懸命していたら周りに褒められて・・・もっともっと上手くなりたいと工夫するようになりました。確かに足腰、腕など動かすことも多いですが、体力も不安はないですね。仕事が楽しいです!」
現在では黒崎さんの推薦により、他事業所にベッドメイクの指導者として指導に行くこともあるそうです。

東日本環境アクセス 宇都宮駅ビル事業所 写真3
事業所を超えてベッドメイクの指導をすることもある佐伯さん

10の仕事を9にする、一人に負荷がかかりすぎない仕組み

宇都宮駅ビル事業所ではスタッフの改善提案により、その日に重点的に行う「今日のワンポイント清掃」が1日1つ決められています。日々のチェック作業やスタッフとのコミュニケーションを通していくつもの改善を提案し推進する小林さんにお話を聞きました。
「清掃の仕事は本当にいろいろあるんです。すべてを1日で完璧にするのは時間もかかりますし、作業負荷もかかります。今は10かかる仕事を9で出来ないか、考えた末のひとつが『今日のワンポイント清掃』です。1分40秒間体操や業務中の足腰の動きなどは怪我をしないようにという側面がありますが、今日のワンポイント清掃は一人のスタッフに作業負荷が偏らないようにするためです」。

東日本環境アクセス 宇都宮駅ビル事業所 写真4
全部で30枚ある「今日のワンポイント清掃」

お客さまから喜ばれる接客を全員が自然とできるように

清掃を通して接客するために、気持ちも体も健康でいることが基本と強調する黒崎さんに、様々な取り組みを通して得られた気づきや成果について尋ねました。
「転倒や怪我を防ぐという意味で1分40秒間体操や足腰の動き方を指導したりしてきましたが、『風邪をひかなくなった』『ダイエットができた』という声をスタッフから聞きます。働くことで健康維持につながっているのかなと思います」。
「でもやはり一番は、接客でお客さまから喜ばれることです。先日は宿泊したお客さまから『ここのホテルの清掃スタッフの挨拶が素晴らしく、すごく気持ちが良い!』とホテルのクチコミで投稿があり、とても嬉しかったです」と笑顔で話してくれました。
スタッフの誰よりも「ありがとう」の声がけを多くしているという黒崎さん。スタッフ全員が自然に「ありがとう」と言い合える環境が"最高の接客サービス"を提供するために必要と考え、そのための取り組みが結果的に健康維持につながり、年齢を重ねても働き続けられる職場になっていました。

「東日本環境アクセス」の事例から学ぶ人材活用のポイント

気持ちと体の健康
清掃を通して接客をするためには、気持ちの健やかさと、きちんと清掃するための体力が基本。「ありがとう」を言いあう環境づくり、準備体操のほか、業務中の足腰の使い方などを指導するなどの取り組みを実施。
半年に一度のシフト変更
一緒に担当するスタッフや担当する業務を固定せずに、半年に一度変更することで、スタッフ同士のコミュニケーション活性や、一人ひとりの清掃技術の向上を図る。
負荷を軽減する仕組み
一人に作業負荷がかかりすぎないように、「今日のワンポイント清掃」として全員で毎日少しずつ+αの仕事をする。