人材活用事例 「わが社の"いいね!"」

2017年03月29日

#アルバイト・パート#シニア#小売業

ベテランのそばで若手が成長する『パズワク』

株式会社東急ハンズ メイン写真

今回クローズアップするのは「東急ハンズ」

今回は、経験豊富なシニアが活躍する株式会社東急ハンズを取材。ものづくりが好きな人が集まる東急ハンズでは、何かをつくりたい人や新しく何かをはじめたい人が、「きっかけ」を探しに来店します。そのような環境のなかで活躍するシニアと、それをサポートする後輩社員の『パズワク』(パズルワーク)のお話を聞くことができました。

  • ● 社名/株式会社東急ハンズ
  • ● 創業/1976年8月
  • ● 本社所在地/〒160-0022 東京都新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア
  • ● 資本金/4億円

ベテランシニアが活躍する職場とは?

老若男女問わず人気の東急ハンズ。住まいと生活に関連する商品を多く取り扱う大型雑貨店です。何か新しいことに挑戦してみたい人、自分でものづくりをしてみたい人にとって「きっかけの売り場」であり、「発想の一歩目」であるような店舗づくりを大切にしています。
そんな東急ハンズで活躍しているのが、アルバイト勤務の小川幸夫さん(76歳)。小川さんは東急ハンズ渋谷店の創業メンバーで、今年で勤続38年になるそうです。仕事内容は、主に作業台で作品を作りながら、お客様へ道具の使い方を説明したり、作品の作り方の相談を受けたりすること。一度、65歳で定年退職をしていますが、働くことを楽しいと感じる小川さんは、退職後すぐにアルバイトとして仕事に復帰したそうです。

株式会社東急ハンズ 写真1
東急ハンズ渋谷店 彫金用品売り場で働く小川幸夫さん

小川さんは、東急ハンズのなかでもベテランメンバーの一人。小川さんのファンというお客様も非常に多く、小川さんの出勤日をめざして来店するお客様が絶えないそうです。そんなお客様のために、小川さんが担当している売り場には、小川さんの出勤スケジュールが記入されたカレンダーが常に掲示されており、お客様はそれをチェックして帰られるのだとか。また、小川さんに会えずに帰ってしまうお客様には、カレンダーのプリントを配布しているそうです。
小川さんと一緒に働く社員の中川さん(48歳)は「小川さんは、僕も含め本当にみんなから慕われています。そのような大きな背中を見せてくれる先輩がいることは、私たち後輩社員にとってもとても励みになります」と話していました。

ベテランの背中を見て成長する

中川さんは小川さんについて、「知識や経験はもちろんプロレベル。さらにお客様一人ひとりに合わせた顧客対応は本当に素晴らしいです。ただの技術者ではなく、人間力も素晴らしく、だからこそみんなから尊敬されているのだと思います」と話していました。例えば、プロのお客様にはプロの対応を。夏休みの宿題をしに来店した子供達へは子供の目線でわかりやすい対応を。相手が今何を求めているのかをよく理解し、何を伝えて何を押さえるべきかを考えて話しているそうです。お客様にとって心地のいい距離感をとるのがとても上手く、一緒に働く社員は「決して自分のスキルや知識を見せびらかすような接客はしません。どんな情報を、どのように知りたいのかを把握した上で対応している姿に憧れます。一緒に仕事をしていて勉強になることばかりです」と話していました。

株式会社東急ハンズ 写真2
東急ハンズ渋谷店社員の中川さん

学生アルバイトや若手社員も多く就業している東急ハンズ。小川さんはあえて若いスタッフには積極的に指導しないそうです。理由は、自慢話や押し付けのように受け取られてしまうからなのだとか。しかし「積極的な指導はなくても、小川さんを見て学ぶことはとても多いです」と中川さん。小川さんは彫金のプロとしてのこだわりや、接客のプロとしてのこだわりはとても強い。彫金の作品作りでは、「鯛」を作った際には実際に本物の鯛を釣りにいき何枚も写真を撮り、細かな特徴まで再現したことも。接客では、一人ひとりに合わせて接客スタイルを変えるなど小川さんならではの工夫がされています。中川さんは、「お客様への接客の仕方や、距離の取り方も、彫金に真剣に取り組む小川さんの姿もとてもかっこいいです。ベテランの働く姿を間近で見られるのはとても贅沢なことです」と話していました。

退職後も続けたい、やりがい溢れる仕事

小川さんと一緒に働く亀井さん(66歳)は、52歳まで大手電機メーカーにエンジニアとして勤務。その後、別の会社に勤め、今はこれまでに培った電気機器の知識を武器に、東急ハンズでアルバイト勤務をしています。亀井さん自身、好奇心が強く、常に何かをして動いていたいタイプなので、若いスタッフと一緒に働くことでよりエネルギッシュに仕事をすることができるとのことでした。亀井さんは、自分のように電気機器の知識を伝えていってくれる若いスタッフができればと考えており、それもまた自分の仕事のミッションのひとつだととらえているそうです。

株式会社東急ハンズ 写真3
電気部材売り場で働く亀井さん

退職してから働く理由は人それぞれですが、皆長年培ってきたスキルを持っているベテランばかり。小川さんや亀井さんのようなベテランシニアと中川さんのような後輩社員は本来、一緒に仕事をすることがない人同士でした。ベテランシニアが長年培った人望とスキルを活かし、楽しんで働いている姿に触れることができるのはとても貴重な経験になるのではないでしょうか。

相手の得意も苦手も知って、助けあう働き方

もちろん、後輩メンバーはベテランシニアから学んでいるだけではありません。小川さんが苦手なパソコン入力や商品の値札出し、在庫確認などは若いスタッフが対応しています。そこでは若手とシニアの力を組みあわせて働く『パズワク』が行われています。シフトも自然と、小川さんや亀井さんのようなベテラン社員と中川さんのような若い社員が一緒に働けるような組み方になっているそうです。
ベテランとして大きな背中を見せてくれるシニアと、シニアが苦手なPCなどの作業を役割分担することで、働き方の個性をパズルのように組みあわせて働く『パズワク』が、これからの東急ハンズをより魅力的な場にしていくのではないでしょうか。

「パズワク」についての詳細はこちらをご覧ください。

「パズワク」個人のチカラをパズルのように組み合わせ活かしあう『パズルワーク』